アフリカで自由貿易が解禁される話(AfCFTA)
Dumelang!
どうもSUKEです。
先日のECOに続いてまたもアフリカの経済を変えるような決定が行われました。
それはこちらのニュースです。
ほぼアフリカ大陸全土で自由貿易が試験段階ですがスタートします。
先日このブログで解説した西アフリカにおける通貨改革に続いて、
こちらのニュースもアフリカにとってものすごく大きな一歩です。
(ちなみにこちらの記事です)
今回はこのアフリカで始まる自由貿易のニュースについて解説します。
もしニュースでAfCFTAの文字を見たらこのブログを読んでみてください!
ニュースの概要
アフリカの国々は7月7日、
ニジェールの首都であるニアメーにて開催されたアフリカ連合(AU)サミットで、
アフリカ大陸自由貿易圏(African Continental Free Trade Area、AfCFTA)設立協定の「運用段階」を正式にスタートさせました。
アフリカ大陸全体の「平和と繁栄」に向けた歴史的な一歩と称賛された画期的な協定が、2002年のAU発足から17年に及んだ厳しい交渉の末に始動しました。
AUの事務局であるAU委員会(AU Commission)は、
参加国が共通の目標である「原産地規則、非関税障壁の監視と撤廃、統一デジタル決済システム、そしてアフリカの貿易を監視するダッシュボード」に関して合意したと説明しました。
7日午前、サミットでナイジェリアとベナンの大統領が合意文書に署名すると、
会場に拍手喝采が上がりました。
この2ヶ国を含め、AU加盟55か国(モロッコからの独立を宣言している西サハラを含む)のうち54か国が協定に合意しました。
残る1か国であるエリトリアは、協定参加を検討すると発表しています。
AfCFTAの下での貿易は来年7月1日に始まるようです。
ニジェールのマハマドゥ・イスフ(Mahamadou Issoufou)大統領は、
参加国が準備するための時間を確保したと述べました。
マラウイ産業・貿易・観光省のクリスティナ・チャティマ(Christina Chatima)貿易局長はAFPに、この協定は「アフリカに大変革をもたらす」との見方を示し、
「われわれの大多数は欧米諸国と貿易している。アフリカ内でもっと貿易をする時が来た」と語りました。
AfCFTAでは今後5年以内に、
参加国の大多数が関税を90%カットすることになっています。
これは大陸内における貿易の障壁を少なくするのが狙いです。
なお、マラウイのチャティマ貿易局長によると、
国連(UN)の後発開発途上国(LDC)リストに入っている国には10年、
ニジェールやマラウなど6か国には少なくとも15年の関税引き下げの猶予期間を設けます。
※ 国連開発途上国とは、国連開発計画委員会(CDP)が認定した基準に基づき,
国連経済社会理事会の審議を経て,国連総会の決議により認定された
特に開発の遅れた国々。3年に一度LDCリストの見直しが行われる。
以下3つの基準を満たした国がLDCと認定される。ただし,当該国の同意が前提となる。
(1)一人あたりGNI(2011~2013年平均):1,035米ドル以下
(2)HAI(Human Assets Index):人的資源開発の程度を表すためにCDPが設定した指標で,栄養不足人口の割合,5歳以下乳幼児死亡率,中等教育就学率,成人識字率を指標化したもの。
(3)EVI(Economic Vulnerability Index):外的ショックからの経済的脆弱性を表すためにCDPが設定した指標。(外務省)
コンサルティング会社ユーラシア・グループ(Eurasia Group)の
アフリカアナリストであるアマカ・アンク(Amaka Anku)氏は、
「この協定が前向きな一歩であることは確かだが、
新協定の下での新たな規制機関のうち、資金を確保できるものが幾つあるかという懸念があり、AfCFTAが離陸するまでには長い期間を要する」と指摘しました。
AUは、この貿易協定によって2022年までに域内の貿易が60%増加すると推計しています。現時点では欧州との貿易が65%を占めているのに対し、AU域内の貿易は約16%にとどまっております。
今回の決定は、簡単に言うと、アフリカ大陸の中で貿易する際は関税を撤廃して、
大陸内での自由貿易を活発化させようという取り組みです。
自由貿易のメリット・デメリット
ここからは自由貿易がもたらすメリットとデメリットについて解説していきます。
メリット
自由貿易によるメリットは大きく見るとこちらの3つです。
- 苦手分野を他国に委託可能
- 活発な輸入による消費者の購買力の向上
- 国全体の生産性上昇
それでは詳しく解説していきます。
苦手分野を他国に委託可能
1つ目は、自国の苦手分野を他国に委託可能になることです。
貿易に関する伝統的貿易理論を展開したリカルドは、
2国間で異なる2つの財を製造していた国がお互いに比較優位を持つ財を輸出し、
そうでない財を輸入することで、相手国への輸出分も含めて生産をすることで
規模の経済が働きより効率的な生産を行うことで生産者としてメリットが生じるだけでなく、消費者として消費できる量も増えたり、
より安いコストで同じ財を入手するメリットを享受したりすることが可能となると提唱しました。
これはつまり、AとBの2つの国があったとして、
Aはパソコンをうまく作れるが洗濯機の製造は苦手、
Bは洗濯機をうまく作れるがパソコンは苦手といった場合、
Aは今までBが作っていた分のパソコンを製造してBに洗濯機を作ってもらい、
Bは今までAが作っていた分の洗濯機を製造してAにパソコンを作ってもらうことで、
よりお互いの生産効率が高まり経済力が上がるという考え方です。
こちらが1つ目のメリットです。
活発な輸入による消費者の購買力の向上
2つ目は、消費者の購買力が上がることです。
貿易が自由化することで、
自国製品よりも競争力のある製品を海外から輸入することができるようにになります。
そうすると消費者は同じ品質のモノであればより安い価格で、
そして、同じ値段であればより良い品質のモノを入手することが可能となります。
つまり、今まで消費者は同じものを買うときに、選択肢を今までより多く持つことが可能になるということです。
アフリカのように企業の生産力が低く所得の低い地域であれば、
選択肢が増えることでより消費者の購買力は上がると思われます。
国全体の生産性上昇
3つ目は、全体の生産性が向上することです。
1つ目のメリットで触れたように、輸入によって自国の苦手分野を外部に委託することで、国全体の産業の生産性を向上させることができます。
国全体の産業の生産性を向上させることで、GDPの値を伸ばすことが可能になり、
国内の個別企業の生産性向上や産業間・企業間の資源の再配置による、
産業全体としての生産性の向上につながるという経路があります。
また、国全体として資源を再配置することができれば、
現状存在していない雇用などが生まれる可能性があり、
失業率の改善効果をもたらすという事例も過去あります。
デメリット
自由貿易によるデメリットはこちらです。
- 劣位にある企業や産業は淘汰される
基本的に自由貿易が始まることでのデメリットはあまりありませんが、あげるとしたらこれです。
自由貿易によって、国外から競争力のある商品が輸入されることで、
同産業の中で劣位にある企業は淘汰されます。
しかし、他産業の生産性が向上することで、
国全体として見ると働き先が増加することが予想されるので、
失業の恐れは基本的に予想されません。
個人的な見解
今回のアフリカでの自由貿易の解禁は非常にアフリカ経済全体の発展に貢献すると思います。
特に、今まで国全体の規模が小さく、発展することがかなわなかった国々(ルワンダやボツワナなど)にとってはこれを機に経済力を伸ばす絶好の機会です。
ボツワナも、内陸国であると言う理由で様々な商品に税金分のお金がかかり、
他のアフリカ諸国に比べて物価が高かったのですが、自由化によって物価が若干下がってくれることでしょう。
ちなみに、今回のアフリカでの貿易自由化によって日本はかなり好影響を得られると思います。
と言うのも、日本は過去様々な場面でアフリカに対する援助を行ってきたため、
アフリカの人々は日本に対して好印象を持っております。
そのため、現地に企業進出してもかなり好意的に受けられることが予想されます。
それには、中国やヨーロッパの企業との競争を制する必要がありますが、
そこに勝つことさえできれば、アフリカでのビジネスは今後よりビッグチャンスになることでしょう。
日本の皆さん、今がチャンスです。
まとめ
今回はアフリカ大陸全土での貿易自由化のニュースについて取り上げました。
アフリカをフィールドにしている人間として、今回のニュースはとても個人的に嬉しいニュースでした。
世界経済を変える大きなニュースですので、是非みなさんも今後動向を追って見てくださいね。
それでは!Sala sentle!
SUKE