大学生YouTuber/SUKEのアフリカ日記

こんにちは!SUKEです。youtubeやってます。このブログは海外生活、アフリカ、ボツワナについて各種コンテンツを発信するブログです。

西アフリカ15か国で単一通貨ECOが導入される話

 

Dumelang!

 

どうもSUKEです。

 

今日はもしかしたら世界の経済構造が変わるかもしれないニュースを見つけたので、

それについて書きたいと思います。

 

そのニュースとは、ブログのタイトルの通り、

西アフリカの15ヶ国で単一通貨ECOが導入されるという話です。

 

www.afpbb.com

 

この記事では、このニュースがどういうものなのか、

また、この単一通貨が日本や世界にどのような影響を与えるのかについて

ざっくり考察してみたいと思います。

 

 

 

 

 

ニュースの概要

 

 AFP BB NEWSによると、現地時間6月29日、

ナイジェリアの首都アブジャ(Abuja)で開かれた首脳会議で、

西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)」は域内に新たに導入する、

共通通貨の名称を「ECO」とすると決定しました。

下の画像がその通貨の予定デザインとなっております。

 

f:id:SUKEafrica:20190701195109p:plain

出典: https://beninwebtv.com/2019/06/55e-conference-de-la-cedeao-le-terme-eco-retenu-pour-le-nom-de-la-monnaie-unique/

 

ECOWASとは、Economic Community of West African Statesの略称で、

1975年にラゴス条約に基づいて設立された、

西アフリカに存在する15ヶ国が加盟している経済共同体のことです。

 

経済規模や機能では遠く及びませんが、

ヨーロッパにおけるEUROと同じようなものです。

 

ECOWASの加盟国は、

ベナンブルキナファソカボベルデコートジボワールガンビア、ガーナ、

ギニアギニアビサウリベリア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、セネガル

シエラレオネそしてトーゴとなっています。下の画像が加盟国の範囲です。

 

f:id:SUKEafrica:20190701022017p:plain

Wikipediaより

 

ECOWAS域内の総人口は約3億8500万人で、本部はナイジェリアの首都であるアブジャです。

 

現在は、加盟国のうち8ヶ国が同一の通貨であるCFAフランを採用しており、

このCFAフランは、ユーロに連動して価格が変動します。

 

残りの7ヶ国は各国独自の通貨を採用していますが、

実際は約30年前から通貨統合をする可能性が指摘されていました。

 

この通貨統合を推し進めるにあたって、2000年にモーリタニアが反対しECOWASを脱退しました。

 

ECOWASは、29日の発表で、2020年までに単一通貨ECOの導入を目指すとしました。

加盟国首脳らは、条件を満たした国からECOを導入する、

段階的な通貨統合をとる方針を確認したといいます。

ECOの価格については変動相場制を採用し、

併せて金融政策の枠組みで域内経済のインフレーションに重点を置きます。

加盟国は適切な政策や構造改革を行うことで、

国内経済の加速的成長を維持することがより求められていくでしょう。

 

現状、ECOWAS域内の総生産のほとんどはナイジェリアが占めていることから、

実際はなかなか厳しいものであると専門家は指摘しています。

 

 

 

ECOが与える影響

 

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ここからはECOが世界に与える影響について、自分なりに考察してみたいと思います。

自分は専門家ではないのであまり詳しいことは書けませんが、

自分の知識の範囲内で出来るだけわかりやすく記します。

 

そもそも西アフリカってどんな地域?

 

この西アフリカという地域は、いわゆる貧困国が多い地域です。

日本人がよく耳にするシエラレオネ共和国や、

現状世界で一番貧困な国であるリベリア共和国もこの西アフリカに存在しています。

 

西アフリカ地域は、昔からの地主などのがそれに当たる、

特権階級が市民を支配し搾取するという旧時代的体制が今でも強く残る地域です。

 

西アフリカには石油や天然ガスをはじめとした資源が豊富に埋蔵されており、

この資源を手に入れるために、欧米諸国が多額の資金援助を行なっています。

 

この資金援助を背景に、前述の特権階級が昔からの支配構造を利用して、

市民から搾取をし続けているため、この地域は貧困から抜け出すことがでません。

 

自国の発展ではなく、自身の利益のみを考えている支配者のせいで大半の市民は厳しい生活を余儀なくされているのです。

 

西アフリカは教育水準も非常に低い地域です。

 

西アフリカの就学率は極端に低く、2013年のユニセフのデータによると、

中等教育の就学率は域内全体で男子がわずか36%程度、女子においては28%という数字です。

また、地方の農村地域は都市部に比べより低い水準となっています。

 

各国の主要産業が農業であり、農業従事者が総人口の60%以上を占めていて

その大半が地方の貧困地域に居住していることから、

域内全体の就学率が低い数字になってしまっていることは当然でしょう。


男子より女子の就学率が低い主な理由は、

ラクターなどがない原始的農法がほとんどの西アフリカで、

女子は農村地域における貴重な労働力でとなっているからです。

 

地方の農村地域の女子の平均労働時間は1日12~14時間で、

農業だけではなく生活に必要な水の調達や、大勢の子供の子育てなど、

仕事がたくさんあるため、学校へ通っている暇がなくなってしまっています。

 

教育をそもそも受けられないので、優秀な大人を育てることができず、

それが国力を発展させることができない原因になっています。

 

そして、西アフリカはとても治安や衛生状態がよろしくない地域です。

 

かつて西アフリカ各国では、民族間の衝突や宗教格差による紛争が絶えませんでした。

 

特に、シエラレオネで起こった1991年から2002年まで約10年に渡る紛争が、

数え切れない死者とストリートチルドレン、そして戦争孤児を生み出したことは

皆さんもなんとなく知っていると思います。

 

さらに、AIDSやマラリアエボラ出血熱など感染症被害も甚大です。

 

上記のように、西アフリカ地域には解決すべき課題が数多く存在しています。

 

 

しかし、悪い面ばかりではありません。

 

近年、数多くの西アフリカの国々で文民出身の指導者が台頭し始め、

域内の数ヶ国はここ数年3%から7%の間で経済成長を続けています。

 

2014年のデータによると、

2014年時点で若年層が6割を占める西アフリカの人口動態から、

2014年時点の3億人から、20年後には倍増の6 億人となることが見込まれていた。

西アフリカはこの倍増する人口によって、さらなる消費市場としての拡大が期待されている地域です。

 

実際、現在の域内人口は約3億8500万人であることから、

順調に行けば2034年には6億人に届くペースになっています。

 

 

 

通貨統合によるメリット・デメリット

 

ECOが西アフリカに与える影響を考察する前に、

通貨統合をすることのメリットとデメリットを簡単に解説します。

日本に住んでると、通貨について考えることってあまりないですよね。

今回はそんなあなたにわかりやすく、

通貨を一緒にすると何が変わるのかSUKEが教えます!

 

メリット

 

・為替手数料

通貨を統合すると、両替などにかかる手数料がなくなるので余計な出費を抑えることができます。

 

・為替変動リスク

他国の通貨の値段に自国の経済が影響を受けるリスクが減ります。

 

・通貨の価値向上

通貨が統合されることで、

この国では使えるけどあの国では使えない、という、

お金そのものが価値を持たなくなる範囲が狭くなります。

 

例えるなら、日本の円を持っていってもアメリカでは使えませんよね?

この時、日本の円の価値が、アメリカではなくなっている状態です。

もし、日本とアメリカが同じ貨幣を使っていれば、

日本から持っていったお金がアメリカでも価値を持つわけです。

使える範囲が広くなったことで、円の価値が上がりました。

 

これが、どの国でも同じ通貨が流通することで、通貨そのものが持つ価値が向上するということです。

 

 

デメリット

 

中央銀行の統一による各国の通貨主権の放棄

紙幣を発行する中央銀行が統一されるために、各国の金融政策の独立性が放棄されます。

これは統一後の中央銀行が問題なく機能すれば大丈夫なのですが、

もし金融政策を誤ってしまうと他の国が巻き添えを食らうというリスクです。

 

・通貨発行利益の放棄

通貨の発行利益は各国にとって重要な財源となっております。

通貨統合は、この財政収入源を放棄することと同義です。

もし、統合後の中央銀行が、通貨発行利益を正しく分配しなければ、

域内各国が大ダメージを受けることになります。

 

 

ECOが西アフリカに与える影響

 

ここからはECOが西アフリカに与える影響を、自分なりに考えたものを書きます。

ECOがもたらすであろうプラス効果とマイナス効果の両面について考察します。

 

プラス効果 

まずはプラス効果についてです。

2002年の流通以降、ユーロがヨーロッパに与えたプラス効果と重ねながら考察していきます。

ユーロが導入されたことで起ったプラス効果はこれだけあります。

  1. 貨幣価格・モノの価格の透明化
  2. 通貨の安定
  3. 金融市場の統合進展
  4. 経済パフォーマンスの向上
  5. 公的財政収支の改善
  6. 国境を超えたヒト・モノ・カネの流通の活発化

 

ECO導入によって西アフリカも同様に上記のプラス効果を得ることができるでしょう。

特に、1番の価格の透明化はアフリカにとって大変重要です。

というのも、賄賂や汚職、犯罪が横行しているしているアフリカでは、

モノの価格が非常に不透明です。

 

共通通貨の導入によって価格の透明化が進むと、人々が経済に対して信頼感を持つことができるようになり、経済活動を今より促進させることができます。

 

そして、個人的に共通通貨が生まれることで得ることのできるメリットで、

一番大きいと思っていることは

国際社会における西アフリカのシンボルを手に入れることができることです。

 

ユーロは今や国際社会におけるヨーロッパの象徴となっております。

もしECOWAS域内の経済が発展すれば、ECOの国際的地位は上昇するでしょう。

これは現状国際的地位の非常に低い西アフリカにとって、大きなモチベーションになると思います。

 

他にもたくさんあるのだとは思いますが、

自分の考えるECOがもたらすプラス効果は上記の項目になります。

 

マイナス効果

 

こちらも同様にユーロの例を見ながら考察していきます。

ユーロの導入によって起こったマイナス効果は以下の4つです。

  1. 他国の財政破綻による負の連鎖
  2. 経済格差の拡大
  3. 移民や難民の増加
  4. 不公平な委員会

 

これらの4つの効果は、ECOWAS圏内だとより強いマイナス効果を引き起こすと思います。

 

ドイツやフランスなどの強国が多くあるヨーロッパですら、

2010年のギリシャ財政破綻によりユーロ圏ほぼ全ての経済が大きく傾きました。

 

ヨーロッパよりもはるかに経済格差の大きいECOWAS圏内。

ナイジェリアという域内では圧倒的な経済規模と人口を持つ大国が、

他の域内の経済的な課題を抱えている国に引っ張られて経済が傾いてしまう可能性は小さくありません。

 

また、通貨統合によって現状力を持っている国が、

より自国に利益が出るように横柄な政治活動を働く可能性もあります。

 

現状ヨーロッパより統制が取れていない分、より危険性もはらんでいるのが

西アフリカにおける通貨統合であると言えるでしょう。

 

 

ECOが世界に与える影響

 

ここからはECOが世界に与える影響を見ていきます。

 

世界への影響も大まかには西アフリカ内で起こることと同様で、

通貨統合により、今までナイジェリアにのみ出資していた外資企業が、

ECOWAS域内の他国に進出する機会が増えることで、経済活動が活発化すると思います。

西アフリカ地域ではフランス企業が多く事業所を持っていることから、ECOが成功すれば、ヨーロッパ経済に多少追い風が吹くかもしれません。

 

アジアでは、日本の会社だと豊田通商さんが西アフリカに影響力を持っていますが、

中国・韓国の企業が既に西アフリカに多く進出していることから、

ECOの導入が成功したとしても、日本企業は西アフリカにおける東アジアの国々との市場拡大レースに勝てる見込みは薄いでしょう。

 

ECOが失敗した場合は、上記の多く出資している企業が打撃を受けると予想されます。

 

 

 

まとめ

 

近年、世界経済はダイナミックに動き続けております。

今回の西アフリカにおける通貨統合も、

世界規模で見ればその活発なムーブメントのうちの一つに過ぎないかもしれません。

 

しかし、西アフリカ地域における新たな通貨「ECO」は、

そこに住んでいる人々にとっては、あまりに大きく歴史的な一歩です。

 

この通貨統合が、西アフリカの経済を活発化させ、産業構造を変化させることで、

少しでも貧困から抜け出す糸口を手にすることができる国が増えることを願います。

 

今後20年30年後に、ECOWASの名をよく聞く日が来たとしたら、

そのきっかけはこの単一通貨「ECO」の導入なのかもと思うとワクワクしますね。

 

 

それでは!Sala sentle!

 

SUKE

 

 

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